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最高裁判所第一小法廷 昭和35年(あ)1358号 判決

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人阿比留兼吉の上告趣意第一点について。

所論は違憲をいうが、刑法一九条一項の没収が憲法二九条に違反するものでないことは、当裁判所大法廷の判例の趣旨に照らし明らかである(昭和二六年(あ)第一八九七号、同三二年一一月二七日判決、刑集一一巻一二号三一三二頁以下参照)。それ故、所論は採るを得ない。

同第二点ないし第四点は、単なる法令違反、事実誤認の主張であって、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。(なお、被告人の本件文書を作成、行使した行為を公文書偽造、同行使罪に当るとした原判示は正当である。)

弁護人鈴村金一の上告趣意について。

所論は事実誤認、単なる法令違反の主張を出でないものであって、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

記録を調べても、所論の点につき同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって、同四〇八条により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 入江俊郎 裁判官 斎藤悠輔 裁判官 下飯坂潤夫 裁判官 高木常七)

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